2016年9月17日より全国で放映される映画「聲の形」(こえのかたち)
作者の大今良時(おおいまよしとき)氏が新人漫画賞を獲得した作品「聲の形」
名前は男っぽいのですが、実は大今氏は女性です。
「聲の形」は大今氏出身の岐阜県大垣市がモデルとなっています。
大今氏の実際のおかあさんは手話通訳者をされています。
この映画の制作は、あの有名な京都アニメーション
監督は、アニメ「けいおん!」でも名をはせた山田尚子氏。
今日は、映画「聲の形」のネタバレ・あらすじに加えて、劇中で活躍する声優陣について紹介したいと思います。
聲の形(こえのかたち)映画のネタバレとあらすじ
この映画は後に詳しく解説しますが、マガジンで連載された「聲の形」の漫画を基に作られました。
ある普通のどこにでもあるような小学校の日常
一人の少女が転校生としてやってきます。
そのクラスにいる一人の少年 石田将也(いしだしょうや)
転校生の少女 西宮硝子(にしみやしょうこ)
この二人の出会いが、周囲を巻き込む哀しみと愛の物語へと繋がっていきます。
『聲の形』の映画情報を見る>>聲の形.com<<
小学生の石井将也
どこにでもいるようなガキ大将的存在でした。
毎日の単調な繰り返しに我慢できず友人を引き連れては、川に飛び込んだり
家でたむろったりしていました。
しかし、小学校の卒業が迫るころ
周囲の悪友たちと少しづつ距離を感じ始める将也
そんなある日
一人の少女が転校生としてやってきます。
クラスの担任竹内先生に促されて教室の前にたった少女は
カバンの中からノートを取り出します。
そこに書かれた文字
「はじめまして。西宮硝子といいます。」
ざわつく教室。
少女は続けてノートの2ページ目をひらきます。
「わたしは皆さんと このノートを通して 仲良くなりたいと 思っています。」
3ページ目をめくると
「どうか わたしと 話すときは このノートに おねがいします。」
そして4ページ目・・・
「耳がきこえません」
将也はおもわずこういいます。
「変な奴!!」
クラス全員の視線が将也に集まります。
こうして出会った二人・・・
やがてクラスにイジメが発生します。
その中心人物である将也
周囲も流されイジメに加担。
教師の裏切り
そして友達と思っていた周囲の裏切り・・・
手のひらをかえすように周囲は将也から離れていきます。
将也は気付きます。
自分が友達と信じていた奴らが、実はそうではなかった・・・
そして
自分が嫌っていた硝子のやさしさにも気付いてしまうのでした。
それに気付いたことで苦しむ将也・・・
そして二人は離れます。
硝子がいなくなった日常で将也は大人になっていきます。
目の前からいなくなった硝子への懺悔? 後悔?
将也は子供時代に伝えられなかった言葉
本当は伝えたかった言葉
伝える方法がなかった・・・
将也やそれを伝えるために手話を学びます。
後悔
自己嫌悪
そして・・・
お前になんか出会わなきゃよかった。
でも
もう一度会いたい・・・
劇中では二人にかかわる周囲の人達の青春を哀しみと苦悩と不器用な愛が表現されています。
みんなが苦しみを抱え
遠回りして、そして最後にみつけた光とは・・・
障害がある人の多くも
そうではない方も
多くの人が生きていく中で経験する葛藤
人に自分の想いを伝えること
感情を表現すること
人の中でいきていくこと
そうした心の中の葛藤をリアルに表現する作品となっています。
聲の形(こえのかたち)の作品の舞台となる大垣市を紹介
大垣市は岐阜県の北西に位置します。
滋賀県の米原と名古屋の中間にある街です。
水都としても有名な街で、水と緑が綺麗なことが特徴です。
そんな街が舞台となっているため、劇中でも川、橋、滝といったものがよく登場します。
市の中心にあるシンボル「大垣城」
その西にある大垣公園は劇中にも出てきます。
その公園に隣接する「大垣公園南側歩道」
劇中では植野と将也が再開するシーンで登場。
水門川にかかる「新大橋」
駅前の通りにある橋。
劇中では硝子が将也にプレゼントを渡します。
そこで硝子が将也に告白を・・・
毎日繰り返される退屈な日々を紛らすため
将也が友達と飛び込んで遊んだ橋
「美登鯉(みどり)橋」
劇中のシーンのモデルとなった場所は、現実に沿って再現されています。
また、大垣市は映画の発表に先立って大垣市の宣伝プロモーションに力を入れています。
将也と硝子たちが過ごした青春の足跡を、大垣市に実際に足を運んで見てみたいものですね。
聲の形(こえのかたち)映画発表までの制作秘話!感動の軌跡
もとも聲の形(こえのかたち)という作品は、2008年に週刊少年マガジンの編集部に作者の大今(おおいま)さんが投稿したことが始まりでした。
第80回週刊少年マガジン新人漫画賞で入選を受賞。
本来『聲の形(こえのかたち)』という作品は、この新人漫画賞の副賞であった『マガジンSPECIAL』にて掲載するはずでした。
しかし、編集部内外からは聲の形(こえのかたち)が、聴覚障碍者(ちょうかくしょうがいしゃ)に対するいじめというテーマの性質を懸念する声があがりました。
これにより、クオリティの高さがあったにもかかわらず一般への掲載公開は見送られることとなってしまいました。
いわゆるお蔵入りです。
この作品は、幻の作品となってしまったのです。
しかし、マガジンの副編集長であった朴鐘顕(ぱくちょんひん)氏は、新人漫画賞の受賞作『聲の形(こえのかたち)』を一般の読者に読んでもらうということを諦めきれませんでした。
朴鐘顕氏は、その想いから講談社の法務部へと掛け合います。
法律的な問題、世の中の反応、色々な視点から起こるであろう問題を予想。
さらに多くの身障者を家族に持つ方々や団体に向けての法的な課題を打開すべく、弁護士を交えての議論が成されました。
そのうえで、全日本ろうあ連盟との協議を経て返ってきた言葉はこうでした。
「原作には手を加えなくても結構です。そのまま掲載してください。」
『聲の形(こえのかたち)』のテーマとなった聴覚障碍者をとりまくいじめというデリケートな題材が、専門家にも認められた瞬間でした。
そして2011年2月に「別冊少年マガジン」にてオリジナル版『聲の形(こえのかたち)』を掲載するに至ったのでした。
たった1回のオリジナル版の掲載が読者アンケートにより他の連載作を抑えて1位となり、多くの支持者がいることが実証されます。
『聲の形(こえのかたち)』が、予想以上に読者の共感を得ていることを理解したマガジン編集部は、発行部数の多い「週刊少年マガジン」での掲載を決定。
作者大今氏のフルリメイク版を週刊少年マガジン2013年12号にて掲載。
この時の反響はとても大きく、Twitterでは4000件を超えます。
もし、当時「別冊少年マガジン」の班長であった朴鐘顕氏が『聲の形(こえのかたち)』を社内の多くの意見に耳を傾けたまま行動を起こさなければ、私自身もあなたもこの感動的な劇画を目にすることはなかったでしょう。
朴氏の心の中から聞こえた聲
それをカタチにするために手をとりあった多くの人たち
『聲の形(こえのかたち)』をご覧になって、あなた自身の心の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
映画『聲の形(こえのかたち)』の声優や豪華制作陣も紹介!
制作:京都アニメーション
原作:大今良時
監督:山田尚子
主題歌:aiko 「恋をしたのは」
配給:松竹
【声優陣】
石田将也役・・・入野自由
石田将也役(小学校時代)・・・松岡茉優
西宮硝子役・・・早見沙織
西宮結絃役・・・悠木碧
永束友宏役・・・小野賢章
植野直花役・・・金子有希
佐原みよこ役・・・石川由依
川井みき役・・・潘めぐみ
真柴智役・・・豊永利行
主題歌「恋をしたのは」
『聲の形』の映画情報を見る>>聲の形.com<<
2016年9月17日(土)より
全国ロードショー
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筆者からのあとがき
この作品は、障害者のいじめをテーマにした物語ではないと思います。
そもそも、この物語自体は将也自身の視点でみた、思春期から青年へと成長する過程の誰もが経験しがちな壁や葛藤を描いたものです。
障害ということを特別視するのではなく、個性として捉える。
僕自身、ホテルに勤務していた頃にあるろうあ団体の方達が宿泊していただく機会がありました。
しかも、そのろうあの方々は世界中から日本に来られたグループでした。
普段は英語でコミュニケーションを取れるのですが、その時ばかりはさすがに僕も最初は困りました。
しかし、世界中から来られたろうあの外国人の方達は、ほぼ全員が困っている僕に対していつも笑顔を見せてくださったのです。
比較的長期間の滞在でした。
勿論、僕は手話というものは知りません。
まして、手話が世界共通なのかもしりません。
でも、伝えなければならないことは、たくさんあります。
お客様の身に何かあってからでは遅いのです。
当時はインターネットがまだ普及されておらず、情報を集めるのも難しいところがありました。
その時、ふと考えたのです。
もともと、おなじ人間なんだから、僕の思うところをゼスチャーで伝えてみたらどうだろう・・・
僕は手と体を使い、想像力を働かしながら必死に考えました。
そう・・・いうならば
健常者の人が耳をふさいでも、何が言いたいのかが分かるようなゼスチャーを試してみたのです。
「鍵を無くした時は、僕に言ってください。」
これを伝えるために
フロントから表にでて
宿泊用のカギをポケットにいれて
そしてそれをわざとポケットから落とす。
さらに僕自身がカギをなくした人を演じて、困った人を演じる。
出来るだけ外国人の人に伝わるような表情、しぐさを演じながら。
そして、フロントの前で鍵を回すそぶりをして、無くなったというしぐさをします。
周囲にいた、ろうあの方達全員が真剣に僕を見つめていました。
そして僕がフロントにもう一度入り、
僕の胸に手をあてて、うんうんと頷き
そして鍵を見せて
コレでしょ?という仕草を見せます。
指でOKのサイン。
その瞬間
その場にいたろうあの方全員が笑顔になり、安心した表情になってくれたのです。
さらに、握手を求めてくれる方、指でOKのサインをしてくださる方
満面の笑顔を僕に返してくれる人達に僕は救われました。
この時思ったのです。
障害なんて関係ない。
もともと日本人と外国人だって、お互い分からない事だらけ。
健常者と障碍者も、それと似ている。
気持ちを伝えようと努力すれば、応えてくれる。
こうした経験が、僕に障害を持つ人たちへの視点を変えてくれました。
ただ、海外の障害を持つ人達の笑顔
とても素敵でした。
健常者の日本人でも見せる事のない笑顔でした。
ろうあの方達は宿泊期間中、ずっとそんな素敵な僕に見せてくれました。
それと同時に、こうも思いました。
日本の障害を持つ人たちが、あんな素敵な笑顔をするだろうか・・・
僕の中では・・・NOです。
何が違うのだろう。
あなたがこの作品を見た後に、何かを感じるのかもしれませんね。