筋ジストロフィー症を持ちながらパーチメントクラフトという紙を用いたアートですばらしい表現をされている松尾悠(まつおはるか)さんと言う方が九州にお住まいです。パーチメントクラフトの教室も開かれています。
作品も販売されていて、実際に作品を見てみると、一枚の紙からこれほどの造形が表現できるものなのかと、本当に驚くものばかりです。
今日は、そんな活動をされている松尾悠さんの経歴やプロフィールだけでなく、パーチメントクラフトとはどういうものなのか、また自分でもやってみたいという方のために色々と情報をお届けしたいと思います。
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松尾悠さんのプロフィール紹介
8歳のときに筋ジストロフィー症を発症
現在は、手首から先しか自由に動かないが、繊細な作業をこなされています。
専門分野
パーチメントクラフトのオーダー制作を本業とするパーチメント作家でもありながら、GOOD TIME教室というパーチメントクラフトの講師もなさっておられます。
レッスンは、Webレッスンや、福岡県大野城市にある「3月うさぎ」というカフェでも教室を開催されています。
また、5名以上であれば体験出張教室もお願い出来る様です。
制作例
ウェディングウェルカムボード、新築祝い、誕生日プレゼント、インテリア装飾、クリスマス装飾などの作品を制作販売されています。
お住まい
福岡県大野城市緑が丘2-9-7
連絡先
080-3950-4080
営業時間
レッスンは10:30~17:30
松尾悠さんの経歴
幼い頃はスキップが大好きな元気な少女だった松尾悠さん。
8歳のときに、そんな無邪気な少女がある病気を発症します。
病名は進行性筋ジストロフィー症
原因はまだはっきりと解明されておらず、ただわかっていることは徐々に筋力が低下していく病気ということでした。
中学時代にはひどいイジメにもあいました。
それが原因で、人に対して壁をつくるようになります。
高校生の時には車いす生活になった松尾悠さん。
友達もつくらず、ただただ大学に進学したいという想いで勉学に励んでいました。
懸命の努力で指定校推薦の枠を手にするも、体力の限界により受験を断念します。
目標を見失った松尾悠さんは、あるものと出会います。
最初の出会いはパーチメントクラフトではなく、木に絵を書くトールペイントでした。
トールペイントで、講師資格をとることが、いつしか大学進学を諦めた松尾さんの目標になっていました。
その頃、トールペイントの講師の先生からパーチメントクラフトというものを紹介されます。
習っていくうちに、一枚の紙が素晴らしいアートに変化していく様子に魅了された松尾悠さん。
気がついたらトールペイントよりパーチメントクラフトに夢中になっていたのです。
ある時、友人が「こういうのが作れるのは悠だけよね!」
その言葉を聞いて松尾悠さんは思いました。
大学進学が出来なくても、自分にこれがあるんだ。
パーチメントクラフトを始めてから4年が経過する頃、講師資格を得る事が出来ました。
これを機に、自宅を教室にして現在に至るのです。
2004年 IPCA(International Parchment Craft Academy)認定資格取得
2005年 「GOOD TIME」パーチメントクラフト教室を開始
2008年 NHK福岡のNHKギャラリーにて展覧会開催を皮切りに、数々の個展や展覧会に参加します
2013年 第69回福岡県美術展覧会 入選
2015年 第71回福岡県美術展覧会 入選
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パーチメントクラフトとは?
厚手の専用紙パーチメントペーパーに様々な加工を施し、レースのような模様を表現して装飾的な造形に仕上げて行くペーパーアートのひとつです。
パーチメントという言葉は羊皮紙のことを指しています。
もともとは修道院のなかで本を製本する際に表紙として色々な模様を施すために使われていた表現手法です。
それが南米のコロンビアで発展し、ペーパークラフトのアートとして進化していきます。
パーチメントクラフトを世に拡げたのは、そのコロンビア出身のマーサ・オスピナです。
彼女はオランダ人の夫と結婚後オランダに住む事となりました。
そこでオランダ語を覚えるために、パーチメントクラフトを教えることを始めたのです。
すぐに評判となった教室は、やがてオランダ各地に展開することとなりました。
やがてマーサは夫と共にパーチメント専門の用具等を販売する会社を立ち上げます。
現在もこの会社は健在で、名前をペルガマーノインターナショナル社として活動しています。
そして、パーチメントクラフトはアートとして立派に確立しオランダから世界中に広まっていくのでした。
日本には、1994年ごろから静かに広がっていきました。
松尾さんはその後、パーチメントクラフトと出会うのでした。
松尾悠さんのパーチメントクラフト制作を紹介
紙を手に真剣なまなざしの松尾悠さん
最初の工程 トレースです
下書きのあとはエンボス 模様を浮き彫りにします
そしてスティップリング 点で模様の下地をつくります
パーフォレイティング 下絵にそって点の穴をあける作業です
カッティング 穴にそってハサミで切り込みを入れて行きます
そしてこれが、作業途中の様子です
どうですか? 紙とは思えなくないですか?
こうして見ていると、思わず自分でもやってみたくなりますよね。
松尾悠さんにとって、このパーチメントクラフトは仕事だけのものではありません。
かつて、病気のせいでイジメにあい人間不信となった松尾悠さん。
友達もあえて作ろうとせずに、壁を作り人との交流をシャットアウトしました。
大学にいきたかったのは、大学にいけば自分が何をして生きて行くのかを見つけられると思ったから。
その進学の道も断念しなくてはいけなかった。
トールペイントを通じてたまたま偶然出会ったパーチメントクラフト。
それが、彼女に生きる道を示しました。
大学にもし進学していたら、きっとまた違う道を見つけたかもしれません。
しかし、人との関わりを避け、人との関わりを望まなかった松尾さんが、「GOOD TIME(良い時間)」という名前の会社と教室を開いた理由
それは、人との素敵な時間を共有出来ることを松尾さん自身が本当は望んでいたからだと思います。
松尾さんは今、幅広い年代の方達にパーチメントクラフトを教えながら活動されています。
彼女と彼女の周りの方達が、これからもGOOD TIMEを過ごされる事を願いたいですね。
そして、パーチメントクラフトに興味を持たれた方のために、お伝えします。
先程お話したベルガマーノ社製のパーチメントクラフトのセットがありますのでお教えしますね。
パーチメントクラフトのセットや道具の通販情報
まずは入門書があると助かりますよね。
【書籍】『優雅なペーパーアート パーチメントクラフト入門』(雄鶏社) |
そして、次は道具の紹介です。
作業用の下敷きエンボスパッド
【パーチメントクラフト】ペルガマーノ 1413 エンボスパッド デラックス |
次は、パーチメントペーパーにエンボス加工で模様を浮き立たせるためのペンです。
エンボスパッドの上で使います。
【パーチメントクラフト】ペルガマーノ 10099 エンボスペンEL(6mm) |
そして、パーフォレイティング(穴あけ作業で使用するニードルです。
【パーチメントクラフト】ペルガマーノ 10211 パーフォレイティングツール 7本針(フラワー… |
デザインを施したものをカットする際につかう専用のハサミです。
【パーチメントクラフト】ペルガマーノ 1131 はさみ スタンダード |
色付け用のパステルセットです。
パーチメントペーパーの裏から塗ってベンジンで薄くのばしていきます。
【パーチメントクラフト】ペルガマーノ 21444 ドルソ ナチュラルカラー |
また、その他の便利なツールが詰まったセットがあります。
これひとつあれば、すぐにパーチメントクラフトを始められるセットがこちらです。
【パーチメントクラフト】ペルガマーノ パーチメントクラフトセット デラックス J025 |
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