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出典:http://nandemokou.exblog.jp/12828515/
香川県観音寺にひとりの女性教師がいます。
彼女の名前は岡田倫代さん。
定時制高校で英語を教えながら生徒の教育相談を担当しています。
今日は、彼女がどんな経緯で教師になったのか、そしてどんな気持ちで生徒と向き合っているのかを書きたいと思います。
岡田倫代さんの誕生から医学部卒業までの経歴
1959年誕生
岡田倫代さんの出身は、地元香川県出身
1978年
地元の香川県立観音寺第一高等学校を卒業
その後、大学に進学
卒業後はホテルで勤務をされていました。
5年勤務した頃、結婚を理由にホテルを退職。
その後に得意の英語を活かして私立高校で教鞭を揮われます。
そして
1999年
母校である香川県立観音寺第一高等学校の定時制の英語教諭として着任
そして11年後の2010年に香川大学医学部大学院博士課程修了し医学博士という異色の経歴です。
何故、岡田倫代先生はこのような経歴の持ち主なのか、そしてどんな先生なのか?
彼女についてもっとよく知りたいと思い調べてみました。
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岡田倫代先生がプロフェッショナルと言われる理由
岡田倫代先生は、現在は本を出版されたりTVに取り上げられたりする方です。
ピアサポートと言われる先進的な手法で生徒と向き合い教育現場に立たれています。
今、岡田先生が取り組まれているやり方が世間の関心を集めています。
岡田先生が仰る言葉には、とても深い意味が込められていて
その言葉に心を揺さぶられる方が沢山居ます。
岡田倫代先生の言葉
「人間を作れば勉強はついてくるもの」
どういう意味なのか一見分り辛い言葉ですが、学校という空間で人間を作るというのは、つまり人間形成。
勉学を教えるのではなく、規律を教えるのでもなく、人を作ると仰っているのです。
昔は、学校と言う社会は、一般社会に出るまでに大人の社会に適応出来るように勉学と同時に社会に適応するための訓練をする場でもありました。
その為、体罰が普通に行われてましたし、先生の言う事は絶対という不文律が存在しました。
しかし現在は、先生の言うとおりに言う事を聞いていれば、社会に適応して生きて行く術が身に付いた時代では無くなりました。
先生の言うとおりにした所で、それが自分の身の助けにはならない。
子供達は、それを知っているのです。
そして、いま子どもたちを取り巻く環境はどうでしょう?
昔は、「自分の事を二の次にしてでも、子供を優先する」親が沢山いました。
しかし、そういった親御さんは、現実問題減って来てしまいました。
まず、自分の幸せや欲求を満たしてから、子供にも与える。
それでなくても、両親が離婚。
家庭内でのDV
将来への不安
愛情不足
経済的な問題
今の子供達は、まだ一人の人間として自立する前から、困難な問題と向き合うことが多くなってしまいました。
しかし、10代前半~半ばと言えば思春期です。
人間形成において、とても大事な時期にこうしたものと向き合わなければならない現代の子供達にとって、これはとても大きな問題です。
親の愛情が当たり前のようにあり、頑張りたければ親が後押しをしてくれる。
勉強がしたければ親が借金をしてでも大学に行かせてくれる。
間違った事をしたら、親が涙を流しながら叱ってくれる。
子供が傷付いたら、我が身のことのように心を痛めてくれる。
昔は、こうしたことが当たり前だったのかもしれません。
しかし、いつからか時代の変化とともに、親の価値観も変わっていきました。
子供の本質を見逃し、学校の成績で安易に優劣を判断してしまう親と学校。
岡田倫代先生は、こう仰っています。
いまの教育は、現場の現実として学科は教えているが人間を作ることについてはほとんど考慮されていないのではないだろうか。いわゆる優等生とされる大学に来ている学生たちを見ていても、決して彼らが人間としてできているとは思えない。
自分にプライドを持ち、自ら学び、決して人との比較に優劣の基準を置くのではなく、学ぶこと自体の喜びに基準を置くような人をいかに育むかが、教育の一番の目的なのだと私は考えている。そういう意味では日本の教育は明らかに失敗していると思う。
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定時制高校というと、昔のイメージでは全日制の高校にいけない低所得層の子供達が働きながら高校卒業資格を取る目的や、子供の時に高校に行けない理由があった社会人が高校卒業資格を取るために通うという色合いが強かった。
しかし、今では全日制の学校に馴染めなかった不登校、中退、家庭の問題などさまざまな事情を抱えた子供達が増えてきている。
そんな中で岡田倫代先生は、なによりも生徒の心を作ることを大事にしているのです。
岡田倫代先生が忘れられない過去の体験
子供達の中に秘めた心の傷
それを岡田倫代先生は、敏感に察知します。
その理由は、過去の岡田倫代先生自身の体験によるものです。
まだ30代の頃、私立高校から公立高校に移った学校で教育相談の責任者として勤務していた時の体験です。
今でも岡田倫代先生が忘れられない出来事がありました。
当時、教育相談の責任者でいた時、一人の不登校の生徒が居ました。
学校の勉強の遅れを取り戻させてあげたい。その気持ちで岡田先生は、その生徒の為に特別な部屋を用意しマンツーマンで向き合って授業の遅れを取り戻させてあげたのです。
努力の甲斐もあり、結果的に成績もあがりました。
そして普通の教室への復帰を勧めたのです。
しかし、その言葉を投げかけた直後、その生徒は学校に来なくなってしまいました。
そしてその後、退学をしたのです。
当時、岡田倫代先生は猛烈に後悔と反省をされたそうです。
授業の遅れを取り戻してあげたら、きっとまた普通にクラスに戻れる日が来るだろう。
大きな思い違いをしていたことに気付いた時には、もう生徒は離れた後でした。
学業にばかり目がいってしまったせいで、その生徒が抱えていた心の歪みに気付いてあげることが出来なかった。
自分は教師として、何をするためにココに居るのか・・・。
これまでの教師として積み上げて来た全てを否定された気持ちになったそうです。
生徒一人一人の心を知るために何が足りないのか
これをきっかけに岡田先生はある決心をします。
岡田先生は、香川大学医学部に入学し心理学を学ぶのです。
そして40歳になった時、定時制高校に移動を命じられます。
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香川大学医学部
学校は、心を修復する「癒しの場所」、心を癒し「自信を取り戻す場所」
過去の失敗を活かすうえでも、定時制高校は岡田倫代先生にとって良い環境でした。
様々な事情を抱える生徒達の心に真正面から向き合いたい。
岡田先生は、生徒と話すときゆっくり話す事を心がけています。
それは、私達が思う以上に子供達の中には「悲しさ」や「寂しさ」で埋め尽くされていることがあるから。
そして、それが理由で孤独感、疎外感、さらに自信を喪失している子供達が多い事。
それをよく知っている岡田先生の話し方は、とてもゆっくりで穏やかです。
そうしなければ、生徒達は自分を抑えつけて自分の気持ちに蓋をしてしまうから。
子供はとても敏感です。
言いたい事、聞いてほしい事で心の中が一杯になっていても、
それを話す事で、
相手が苦しむかもしれない。
困らせるかもしれない。
そう感じてしまうと、我慢してしまうのです。
だから、必要なのはゆっくりでいいから、寄り添っていくこと。
それを決して諦めない岡田先生の姿に、生徒達の心が次第に岡田先生への信頼に変わっていくのです。
笑顔を失いかけた子供達が、岡田先生と出会い笑顔を取り戻していくのです。
もうひとつ、印象的な岡田先生の言葉があります。
「どの子も本当は輝いている」
世の中の早さに付いていけない子が多い。その子のペースでいいじゃないかな。
接しているうちに、心の中にものすごく「熱いもの」を持っていることに気付かされます。彼らはその情熱を自分で抑えているだけなのだと思う。生徒は宝石です。本当は、輝いているんです。